木村文音(3年)、中久喜志穂(3年)
日本ではコーヒーを年間一人当たり、どれくらい飲んでいるかご存知でしょうか?
100杯?350杯?それとも500杯?正解は年間一人当たり580杯で、だいたい1日に1.58杯の計算となります(全日本コーヒー協会統計)。
このように日本ではコーヒーはとても愛されており、EU、アメリカに次いで世界第3位の輸入国でもあります。
いつでもどこでもコーヒーを楽しめる日本のコーヒー市場とはいったどのようなものなのでしょうか。
日本のコーヒーの国内消費量の推移
(出典:全日本コーヒー協会統計資料より作成) 日本のコーヒーの国内消費量は若干の増減はあるものの、全体としては20年前から増加傾向を続けています。 日本のコーヒーの種類別輸入量(2019年)
出典:(全日本コーヒー協会統計資料より作成) 生豆の状態での輸入が圧倒的に多いことが分かります。
日本のコーヒー生豆の輸入国(2019年)
出典:(全日本コーヒー協会統計資料より作成)
コーヒー生産国世界一位であるブラジルからの輸入が圧倒的に多いことが分かります。
ブラジルに次ぐベトナム、コロンビアの3か国によって全体の約7割が占められています。
日本独自の缶コーヒー
日本では当たり前に売られている缶コーヒーですが、実は海外ではほとんど見かけることがなく、日本独自のものであるといえます。日本は海外と比べて自動販売機の数がとても多いことも関係しています。缶コーヒーは海外にはほとんど浸透していませんが、実際に外国の方に試してもらうと意外にも高評価が得られることが多いようです。
缶コーヒーは1969年にUCCが1本80円で販売したのが始まりです。販売当初は自動販売機も普及しておらず、コンビニもなかったためなかなか売れませんでした。しかし、1970年の大阪万国博覧会でパビリオンや飲食店に営業をかけて納品したところ、爆発的なヒットにつながりました。そして1971年には、UCCは売上高100億円を達成しました。
その後1970年代前半にはポッカ・コーポレーション、ダイドードリンコが、1974年にはコカ・コーラが「ジョージア」で参入しました。その勢いのまま続々と様々な缶コーヒーが登場し、戦争ともいえるほどの盛り上がりを見せました。そして現在もその人気は続いています。
カフェに負けないコンビニコーヒー
コーヒーについて忘れてはいけないのがコンビニコーヒーの存在です。今ではどの大手コンビニチェーンにもコーヒーメーカーが置かれていますが、セブンイレブンが1980年代に提供したのが最初のコンビニコーヒーです。
しかし、セブンイレブンはサイフォン式やカートリッジ式など様々な方法でコーヒーの提供を試みたものの、ビジネスとして成功することはなく導入と撤退を繰り返していました。そのような中で試行錯誤と研究を重ね、2013年1月に提供を開始したのが「セブンカフェ」です。同年7月には累計1億杯を売り上げるなど、瞬く間に大ヒット商品となりました。
2011年にはローソン、2012年にはファミリーマートがそれぞれカフェラテの販売を開始していたものの、コンビニチェーンの最大手であるセブンイレブンが「コンビニでコーヒーを買う」という新たな消費行動を根付かせたのです。今ではコンビニコーヒーのカップを片手に街を歩く人々は当たり前の光景になっています。
また、「セブンカフェ」の1杯100円という低価格に対抗して、他社も価格を見直したり商品のバリエーションを増やしたりして競争を図っています。このようにコンビニコーヒーは大きなマーケットとなっているのです。
コーヒーウェーブ
コーヒーにも流行がありますが、最近では日本の大坊珈琲店などに影響を受けたブルーボトルコーヒーに代表されるサードウェーブコーヒーの人気が高まっています。香りや味ともに既存の品質を超えてとことんクオリティを追求したスペシャルティコーヒーに注目が集まっています。 もちろん、サードウェーブがあるということはファーストウェーブ、セカンドウェーブがあったということです。 19世紀後半から1960年代にインスタントコーヒーなど一般向けに安く大量生産され、コーヒーが広く普及したのがファーストウェーブです。そして1960年代から2000年ごろのセカンドウェーブでは、より品質の高いコーヒーを提供しようという動きのもと、スターバックスなどシアトル系のコーヒーが登場しました。 以上のようにコーヒーは様々な形で発展し、ムーブメントを起こしてきました。コーヒーの世界は今後もとどまることなく変化を続けていくでしょう。(参考資料 統計資料 | 全日本コーヒー協会 (ajca.or.jp))
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