コーヒーと神保町のおすすめ本

コーヒーから世界を知る

「コーヒーで読み解くSDGs」(ポプラ社)
明治大学SDGsコーヒーでご協力いただいているコーヒーハンターの川島良彰氏を中心として執筆された本です。コーヒーを入り口として、生産地である途上国の課題や地球環境問題について知るのにまず手に取るのに良い本だと思います。コーヒー危機など一時産品価格の問題といった国際経済の課題なども解説されており、明治大学SDGsコーヒーについても本の中で紹介いただいています。ゼミでの川島氏へのインタビューはコチラから読んでいただけます。

川島良彰「私はコーヒーで世界を帰ることにした − 夢をかたちにする仕事道」(ポプラ社)
上と同じ川島良彰氏による著作です。高校を卒業してエルサルバドルでコーヒーの研究を始め、そこでの内戦、ジャマイカ・ブルーマウンテン、ハワイ・コナの農園での奮闘など波乱万丈の半生と、そこから考えた自身の取り組みが語られています。コーヒーや世界を知るというだけでなく、読み物としてもとても良く最初の本よりもコチラから読み始めるの良いかもしれません。

ALL ABOUT COFFEE コーヒーのすべて (角川ソフィア文庫)ウィリアム・H・ユーカーズ山内 秀文
コーヒーについて世界的に最も読まれている本です。コーヒーの発見、飲用の歴史、世界の産地事情、器具の進化、抽出・焙煎技術の変遷まで読むとコーヒーについての知識がかなり詳しくなります。また、小さな本であるにもかかわらず網羅的に記述されているので辞書的にも使っています。

ジェームズ・ホフマン (著), 丸山 健太郎 (監修),「ビジュアル スペシャルティコーヒー大事典 2nd Edition」ナショナル ジオグラフィック (編集)
美しい写真と生産地の情報がかなり詳しく掲載されています。コーヒーを飲みながら、このコーヒーの生産地の様子はどんな感じだろうかとこの本を眺めるの時間がとっても楽しいです。

僕はコーヒーがのめない (ビッグコミックス) 福田 幸江 (原著), 吉城 モカ (イラスト), 川島 良彰(コーヒーハンター) (監修)
本を読むのはちょっと、と思う場合には、このマンガはオススメです。コーヒーについてとっても詳しくなります。ある会社がサードウェーブ・コーヒーのプロジェクトに取り組むという中での様々な対立、秘密・・・。コーヒーだけでなく、ストーリー展開もとっても面白いので最初の1冊にいいかもしれません。

ブライアン・サイモン (著), 宮田 伊知郎 (翻訳)「お望みなのは、コーヒーですか?――スターバックスからアメリカを知る」(岩波書店)
スターバックスは「意識高い系」の人が行くところ言われたりします。スターバックスがどのような「価値」を売り、それを消費者はどのように「消費」しているのかを社会学の視点から鋭く分析した本です。日本でコーヒーがどのように消費されてきたかを読み解く時にも参考になる本です。

林 哲夫「喫茶店の時代 」(ちくま文庫)
コーヒーの消費地としての喫茶店をかなり網羅的に歴史的変遷を追った稀有な本です。神保町関係でもらんぼお(今のミロンガ)ラドリオなど神保町の喫茶店の歴史も出てきます。

コーヒーの美味しさの秘密を知る

石脇智広「コーヒー『こつ』の科学―コーヒーを正しく知るために」(柴田書店)
コーヒーを美味しく淹れるのは難しいです。また、本やホームページによってオススメの淹れ方にかなり違いがあったりします。この本は理系的な視点でおいしさの秘密を追求した本で、理由が分かるとコーヒーの淹れ方、味わい方も変わってきます。ゼミにもお越しいただいたことがあり、石脇社長へのインタビューはコチラから読んでいただけます。石脇社長は日本のコーヒー輸入・焙煎における代表的な企業の一つである石光商事(株)の代表取締役社長を務めておられます。

コーヒーについての読書案内はまだ続きますが、ここで神保町関連の本も紹介させていただきます。

世界から神保町を知る

神保町には様々なコミュニティ雑誌があります。雑誌として配布されているものも、HPだけのものもありますが、いずれもとても質が高く街の情報だけではなく、歴史などもよく知れますのでオススメです。例えば、おさんぽ神保町ナビブラ神保町あるまっぷCHIYODAなどがあります。

神保町のことを想う人たちのことを知りたい場合には石橋毅史氏の「口笛を吹きながら本を売る: 柴田信、最終授業」がその魅力を余すところなく伝えていると思います。今は神保町ブックセンターがある場所にあった岩波ブックセンターの代表をされていた柴田信さんへのロングインタビューで構成されています。神保町と本の街に対する思いが伝わってきます。石橋さんにはゼミに来ていただきお話をお伺いしました。コチラから読んでいただけます。

また、次の3冊も神保町を知るのに欠かせない本だと思います。

 脇村 義太郎 東西書肆街考 (岩波新書)

鹿島 茂「神田神保町書肆街考: 世界遺産的“本の街”の誕生から現在まで」(筑摩書房)

  司馬 遼太郎「街道をゆく 36 本所深川散歩、神田界隈」 (朝日文庫)

神保町のガイドブックには様々なものがありますが、小山力也「古本屋ツアー・イン・神保町」(本の雑誌社)は個々のお店についてかなり詳しく書かれていて、さらに街歩きが楽しくなります。

英国にある古本のまち「ヘイ・オン・ワイ」と神保町という日英の古本街を比較した大内 田鶴子 、小山 騰、 藤田 弘夫、熊田 俊郎 「神田神保町とヘイ・オン・ワイ―古書とまちづくりの比較社会学」(東信堂)は面白いです。

神保町という街は単独で存在しているわけではありません。世界の街や地域はそれぞれつながっていて、デジタル経済化の波の中で大きな都市の興亡が起きています。神保町もそうした大きな世界経済の流れの中にあります。神保町という街だけではなく、世界的な流れの中で街の動きを考えるにはとても面白い本だと思います。
アナリー・サクセニアン (著), 本山 康之 (監修, 監修), 星野 岳穂 (監修, 監修), 酒井 泰介 (翻訳)「最新・経済地理学」(日経BP社)

 

上で紹介したような世界的な経済全体の動きから日本国内の地域の再生について書かれていてオススメなのは諸富 徹「地域再生の新戦略」 (中公叢書) です。神保町コーヒープロジェクトの一つのキーワードであるソーシャル・キャピタルについて深く知るにも適しています。

歴史からコーヒーを知る

コーヒーや砂糖、茶などは世界商品と言われます。歴史を見て見えてくるものがあります。そうした歴史からコーヒーを知るのにオススメなのは(面白かったのは)次の3つです。3冊目はコーヒーではなく、砂糖についてです。コーヒーと甘いお菓子は一緒に楽しまれてきましたが、その歴史もかなり重なるところがあります。また、お茶に関しては角山栄「茶の世界史−緑茶の文化と紅茶の社会」(中公新書)がとても面白いです。
臼井 隆一郎「コーヒーが廻り世界史が廻る」(中公新書)

旦部幸博「珈琲の世界史」(講談社現代新書)

川北 稔「砂糖の世界史」 (岩波ジュニア新書)

少し詳しく知りたい場合に

山田早苗 「珈琲入門 食品知識ミニブックスシリーズ」(日本食糧新聞社)
コーヒーについての情報という意味ではとても密度の高い本であると思います。またよく情報が整理されているので、多少、コーヒーについて詳しく知りたい場合にはとても良いと思います。著者の山田早苗氏は三井物産、キーコーヒーなどを経て、社団法人国際コーヒー機関(ICO)の委員会に日本代表代理として出席されていたとのことで、驚くほどICOや国際価格変動などについての説明が充実しています。少しコーヒーについて詳しく知りたい人にはぜひオススメしたい一冊です。ただし、一般向けではないと思います。

上原 勇作「セラードコーヒーの挑戦―セラードコーヒー物語」(いなほ書房)
セラードは日本とブラジルが共同で開発し、もともとは農作物ができなかった地帯を豊かな穀倉地帯に変えたという大規模プロジェクトです(そのため、例えば斎藤幸平『人新世の「資本論」』が本の中で批判しているように環境破壊ではないかという批判もあります)。ブラジルにおいては現在、このセラードにコーヒーの生産地が移動し、それが世界市場に大きな影響を与えています。日本がこのセラード開発をするに至った経緯なども詳しく書かれており、ブラジルのコーヒーの歴史を知るにはとても良いと思います。特に著者である(株)セラード珈琲代表取締役の上原氏が京都大学で行った講演を収めた序章はとても面白く参考になります。

歴史からコーヒーを見るという点ではこちらの本はかなり詳しく参考になります。グローバル・ヒストリーというのはヨーロッパ中心の歴史観からではなく、ヨーロッパ以外の地域のつながりから新たな歴史観を生み出すものです。各国ごとのコーヒーの歴史もかなり詳しく書かれており、生産地のことを調べる際にはとても参考になります。
小澤卓也「コーヒーのグローバル・ヒストリー 赤いダイヤか、黒い悪魔か」(ミネルヴァ書房)

辻村英之教授(京都大学)のタンザニアの現地に密着した研究はすばらしいものがあります。コーヒーは生産者から消費者まで長い流通経路を辿りますが、その過程でどう価格が変わっていくか、生産者の普段の生活はどんなもので何に困ってどんなことを考えているかまで、マクロからミクロまでカバーされています。また絶版になってしまっていますが季刊あっとに論文が2本掲載されており、これらも世界銀行の構造調整政策がどのようにアフリカの現場に影響を与えたかなど貴重な分析になっています。
辻村英之「【増補版】おいしいコーヒーの経済論――「キリマンジャロ」の苦い現実」(太田出版)

辻村英之「コーヒーと南北問題―『キリマンジャロ』のフードシステム」(日本経済評論社)

(今後、紹介する予定の本)