「どうすれば魅力あふれる神保町の未来を守れるか?」青野芳久さん(神保町地区地域コミュニティ活性化委員会 委員長)に聞く

上野志保美、濱田侑佳(3年)

7月20日のゼミでは神保町の古書店「高山本店」代表の高山肇さん、神保町地区地域コミュニティ活性化委員会・委員長の青野芳久さん、千代田区神保町出張所長の武笠真由美さんにお越しいただきました。

前列右から4人目から青野芳久さん、武笠真由美さん、高山肇さん

まず、3名の方から講義形式で「神保町の魅力と課題」について伺った後に、3班に分かれ個別にゼミ生で質問をさせていただきました。今回は青野さんにインタビューさせていただきましたので、それを記事にさせていただきました(今後、高山さん、武笠さんについても順次、掲載させていただく予定です)。

神保町地区地域コミュニティ活性化委員会はどんな活動をしているか

まず、青野さんが委員長をされている神保町地区地域コミュニティ活性化委員会の活動について伺いました。

神保町地区地域コミュニティ活性化委員会は、千代田区から支援を受けながら地域コミュニティの活性化に向けた活動をしているとのことです。特に、神保町の地域の人々の繋がりを強め、地域の価値を高めることを目的として、地域コミュニティ活性化事業などに取り組まれてきています。

青野さんは20年以上前から委員会に所属されており、2年前からは委員長を務めていらっしゃいます。神保町で色々なイベントを行う中で、住民とのつながりや一体感を大切にしているとのことでした。

特に、青野さんは学生の街と呼ばれる神保町で若者中心の新しい街づくりを目指すことが、神保町の本質的な街づくりの部分になるのではと考えているそうです。そのために、私たち学生とコネクションを持って、多様なアイデアを引き出していきたいと話していました。そして、「自分はあくまでも若者主体の町づくりをサポートする役割でありたい」という言葉が、私たちの街づくりへの意識をより一層高めて下さいました。

 神保町の魅力とは?

神保町のある千代田区は、皇居を中心に麹町など都会的な山の手の街と神田などの下町、二つの街の雰囲気を合わせ持っています。神保町周辺は商店街や古本屋街というノスタルジックな雰囲気の中に、大通りに出るとオフィスが並んでいます。神保町は下町の穏やかな雰囲気の中に都会的な風景を持ち、風情ある下町から発展を続ける都会までを楽しむことができるのです。青野さんは神保町に暮らす人々について「相互助け合いの心や地域を支えていこうという気持ちが強く、下町の住民意識に根差している」とおしゃっていました。街に愛着を持ち、環境が変化しても長く住み続ける人が多いことは神保町が持つ価値の一つだといいます。

そして、神保町の文化発祥は「学生」が中心となって行われたと青野さんは考えておられました。神保町周辺には明治時代に多くの大学ができ、使い終わった教科書を売却できる古本屋が繁栄しました。そしてゆっくり読書ができる喫茶店、楽器屋、出版社、スポーツショップなどが並ぶ個性的な街へと発展を遂げました。つまり、神保町は学生がいるからこそ成り立った街なのです。いつの時代も学生をベースに文化が誕生し、いくつもの顔を持った神保町が形成されてきました。学生の存在が神保町に多くの影響を与えていたことに、驚きと喜びを感じます。

これからの神保町

神保町は明治時代から学生が中心となって文化が発祥・発展しました。しかし、現在では千代田区全体と比較しても、神保町の少子高齢化が進んでいます。そこで、長年住み続けている住民と若者の間で、街に対する意識や考え方の違いが生じています。青野さんはこの課題に対して、世代を超えた深い交流と相互理解の必要性があると考えているそうです。神保町の再開発の動きが強まる今、私たち学生が当事者意識を持つことがより良い神保町の未来への第一歩になるのではと感じました。

いつまでも学生が中心の街へ

これからの神保町について、青野さんは「学生がメインの街であり続けて欲しい。学生が主体となることがで、神保町が持つ本質的な部分につながるのではないでしょうか。地域住民自分の意見だけではなく、学生の街への思いを尊重してサポートする立場になっていけたら。」とおしゃっていました。私たちは、学生が既存の文化を大切に守り続けて欲しいと考えていらっしゃるのではないかと思っていたため、思いがけない言葉に驚きました。長年、大学の存在が街の風景や文化を形成してきたことから、若者中心で神保町の活性化を目指していきたいという想いを、私たちの街づくりにも表していきたいと思います。

また、「古本街の風景は残してほしい」という住民の想いも反映していきたいとおっしゃっていました。“古本の街神保町”としての顔を残しながらも神保町に新しい価値を与えられる、学生ならではの視点を生かした街づくりが求められていると感じました。近年では周辺に学校を構える学生たちが、様々な神保町の街づくりを行っています。ぜひ、覗いてみてください。

最後に

青野さんの「神保町は若者が中心の街」という言葉が印象に残りました。私たちは伝統的な文化や街に根付いている文化を守り、受け継いでいくことに目を向けていました。これからは、神保町の時代に合わせた変化にも注目し、少しでも街の発展に貢献していけたらと思います。学生の意見を重視していただいていることを嬉しく思ったのと同時に、神保町についてもっと深く学ばなければならないと感じました。

神保町は様々な文化が溢れる街です。街の魅力をたくさんの人に伝え、これからの神保町に新しい風を吹かせながら支えていくため、私たちにできることから始めようと思います。

青野さん、この度はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。

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